講演:税理士兼家主が実践する税務知識を活かした賃貸経営
 

「不動産会社のオーナーズクラブセミナー」にて、講演(埼玉県さいたま市でのセミナー)講師をしました。

約40人の賃貸オーナーに熱心に聴いて頂き大盛況でした。
内容を公開しますので、不動産賃貸経営の参考にして下さい。

 

不動産賃貸経営の魅力と節税対策

【一. 不動産賃貸経営の優位性】

1. 他商品との比較 <商品比較表>

2. 他業種との比較 <業種別集計表> 毎日稼いでくれる
<メリット>
① 不動産賃貸業は、手間いらずで管理会社に任せきれる。→代々引き継ぐことができる。
② 安定した収益が見込まれ経費も見積もりがしやすい為、計画が立てやすい。
 生活の安定に寄与する。
③ 単に売却ができない為、不用意な売却のストッパーとなり冷静な判断がしやすい。
④ 場所・広さ等原則同じものがない為、物件を確定させることができ、借主・買主にアピールしやすい。
⑤ 賃借人の家賃により借入金を返済してしまえば無借金の土地が残り財産となる。
⑥ 税金が減少する(相続税・贈与税)☆最強の装置産業(事業)
<デメリット>
① 売買金額が高額になる為、通常借入金を必要とし、資金調達ができるかどうかがカギとなる。 →金融機関も良きアドバイザー
② 物件の所在地、建物の状況によっては借り手がつかなくて、又は修繕費が多くなり採算割れする可能性がある。→最初が肝要
③ 有能な管理会社を選択しないと空室、滞納の増加スラム化という問題に直面する。
④ 借入金の返済中は運用状況次第によっては不足金を自腹で出さなくてはならない。
⑤ 古くなるほど家賃は安くなり、修繕費は増加する。
⑥ 税金が増加する。(所得税・住民税・事業税・法人税)
   ☆ 大家さんの天敵 ⇒空室・滞納・返済・税金

【二. 節税対策】

事業規模別対策 (所得税・法人税・住民税・事業税)

1. 本人個人9 部屋迄 青色申告10 万円控除

2. 本人個人10 部屋以上 青色申告65 万円控除 複式簿記B/S を要す
 青色事業専従者給与の支払い
 ※青色申告承認申請書を事業開始後2 ヶ月以内に提出
 ※青色事業専従者給与届出書と源泉所得税納期特例申請書をすみやかに提出

3. 奥様個人で取得して分散

4. 管理法人を設立 

①管理法人が自ら取得
②個人の不動産を管理する ⇒ 一括借上方式
             ⇒ 管理手数料の問題 外注方式
③建物のみ管理法人へ譲渡する ⇒ 無償返還届け
               ⇒土地の賃貸借
 ※ 現在の管理会社との関係、入居者との関係
 ※ 個人と法人の決算申告を要することとなる
 ※ 青色事業専従者は原則、管理法人の役員(代表者)となり役員報酬をもらうこととなる。
  他の家族への分散(但し仕事の対価であること)

(例)サラリーマンのA さん、

  ・給与年収  1,200万円
  ・所得控除   200 万円
  ・不動産所得 1,000 万円(収入金額2,000 万円)
  ・事業的規模、専従者給与 100 万円、管理会社へ収入金額の5%(100 万円)を支払っている。
  ・また、管理法人から奥様へ300 万円の給与を支払う。

サラリーマンAさんの場合
サラリーマンAさんの場合


賃貸不動産の相続税対策上の優位性

B さんが33億円の財産を有しているとした場合

財産を種類別に分類して評価をし、相続税額を計算する。
妻、子供2 人とし自宅は考慮しない。
借地権割合60%
借家権割合30%
路線価は時価×80%
建物の評価は固定資産税評価額であるが、これは建築価額×40%と仮定する。

Bさん3億円の資産
Bさん3億円の資産

【三. 知っておくと得する豆知識(とっておき)】

① 賃貸中のアパートに被災があり地震保険が500 万円おり、修理に300 万円かけたのです。

 差額の200 万円に税金かかる商品の損害についておりた保険金は?

   所得保障保険は?

② ガンになり生存中保険金500 万円をもらい300 万円治療費を支払った。
 運良く完治したが、差額の200 万円に税金かかる?
 この場合,年間医療費が家族全員で400 万円かかったが医療費控除はできるか?
③ 離婚に伴う財産分与。マンションを妻に分与した場合の課税関係は?
④ 離婚状態ではあるが事情があって法律上離婚していない夫婦間の慰謝料の代物弁済によるマンションの名義変更は贈与?
⑤ 取得時の土地建物の金額が不明な場合どうやって区分するのか?
⑥ 中古資産の耐用年数
   業務の用に供した時以後の使用可能期間の年数を見積もる。
   見積もり困難、 法定耐用年数(A)の全部経過 A×0.2
                 (A)の一部経過 A-(経過年数)×0.8
⑦ 築15年以内のマンションであれば、構築物・建物付属設備が建物の値段に含まれている

 定率法15 年
⑧ 取得時の附随費用
 登記料、仲介手数料、銀行手数料、保証料、火災保険料、収入印紙
⑨ 初年度不動産所得赤字の場合の対応
   他の所得との損益通算の制限と青色申告特別控除適用不可
   不動産所得 △100 万円 給与所得800 万円
   取得価格 土地5,000 万円 建物5,000 万円 当初借入金8,000 万円

         当期支払利息200 万円
      ※ 赤字の為、青色申告特別控除0 円
      ※ 土地取得借入金利息の損益通算制限
         200 万円×(8,000 万円-5,000 万円)/8,000 万円 =75 万円
                  
     △ 100 万円-75 万円=△25 万円しか給与所得と損金通算できない。
       対策は?
⑩修繕費と資本的支出
    通常の維持管理の為、又は原状回復の為の支出
    価値を高め耐久性を増すことになる支出 付加した:

                           用途変更:模様替え改造改良改装:
    取替えのうち通常の金額を超える部分の金額

【四. 税制改正】
本年度(2011年現在)の税制改正(案)の目玉は以下のとおりです。
1. 所得税   ① 給与所得控除の縮減 増税↑ 役員報酬高額者は更に増税
      ② 成年扶養控除の縮減 増税↑
      ③ 勤続年数5年以下の役員退職金の1/2 課税廃止 増税↑
      ④ 特定支出控除の範囲の拡充と給与所得控除に上乗せ控除 減税↓
2. 法人税     ① 中小企業の法人税の軽減税率を3%引き下げ 減税↓
      ② 法人の実効税率を5%引き下げ 減税↓
            ☆ 一定規模を超えたら法人で物件を所有し、法人に利益を残す方が良い。
3. 資産税     ① 相続税の基礎控除を4 割縮小 増税↑
      ② 相続税の税率の引き上げ 増税↑
      ③ 贈与税の非課税枠(相続時清算課税制度)の対象に孫への贈与も拡大 減税↓
      ④ 贈与税の税率の改正 増税、減税一体↑↓
      ⑤ 相続税の死亡保険金の非課税枠の減少(同居用件) 増税↑

☆ 借り入れをして物件を買い続けるのも一法。